日像上人の足跡をたずねて

日像上人の足跡をたずねて

日像上人の霊蹟、由緒の地の巡礼記

法華経守護の諸天善神(3)金龍山妙国寺の神札に勧請されている諸天・善神

 今回のエントリーでは、わが家の菩提寺・妙国寺から檀信徒に毎年配布されるお札に勧請されている神々を紹介します。

 毎年、暮に檀信徒に配布される妙国寺のお札は全部で10枚、そのうち神様の名前が具体的に記されているお札は5枚。

日蓮宗で一般に重視されている

 ・七面天女

のお札は含まれていません。

左端のお札(お札-1)は、妙見さまのお札。墨書きの文面は

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爲 悦 衆 生 故    金  龍  山

南無妙法蓮華経 妙見大菩薩 擁護

現 無 量 神 力    妙  国  寺

 

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お札に同梱されている、お札の解説書には、

 お題目の左右の経文は、法華経・神力謁の「爲悦衆生故」(衆生を悦ばしめんがために) 「現無量神力」(無量の神力を現じたもう)です。
「妙見大菩薩」は、北斗七星・北極星の菩薩で、国土を擁護し、災いを除き、幸を得せしめる開運の菩薩であるとともに、開運除厄・眼病平癒、学問の菩薩です。

とあります。

 左から2番目のお札(お札-2)はお稲荷様のお札。墨書きの文面は、

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奉信敬玉房通利稲荷大明神守護攸

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お札の解説書には、

 稲荷明神は、本来は収穫の神・農業神ですが、人々の交流という要因により商工業・漁業の守護神にもなりました。
 稲荷神は狐と混合されますが、正しくは法華経の本佛が衆生済度の為菩薩の姿となって応現された最上位経王大菩薩です。

とあります。

 左から3番目のお札(お札-3))は大黒天・愛染明王不動明王のお札です。墨書きの文面は、

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慈眼視衆生f:id:ryugesengyo:20140724005239p:plain(カーン)

南無妙法蓮華経 大黒天守護所

福聚海無量 f:id:ryugesengyo:20140724005321p:plain(ウーン)

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f:id:ryugesengyo:20140724005239p:plain(カーン)」は不動明王、「f:id:ryugesengyo:20140724005321p:plain(ウーン)」は愛染明王を表す梵字(=種子)です。お札の解説書には、

 大黒天は、福徳・商売繁盛の神として尊崇されています。
 「慈眼視見衆生 福聚海無量」は法華経・観音謁の経文で、慈眼をもって衆生を視る、福聚の海無量なり(観音さまは何時もやさしい、思いやりの眼をもって私たち衆生を見て下さる。観音さまを一心に信じれば、福の集まること海の如く無量にある)。
 「愛染明王」は、愛欲の迷いを加持浄化して煩悩即菩提の悟りを得させる明王。「不動妙王」は、仏道修行者を擁護し菩提を成ぜしめる明王です。

とあります。

 右端のお札(お札-4)は、日蓮宗のご本尊「大曼荼羅」にかなり近い内容・構成のお札です。文字が見にくいので、真正面から撮影した一昨年配布の同じお札の写真を再掲載します。

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そのお墨書きの内容は次のとおりです。

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二聖 f:id:ryugesengyo:20140724005239p:plain(カーン) 鬼子母神

 南無上行無辺行菩薩

南無多寶如来 大梵 帝釈天 大黒天神

南無妙法蓮華経 心王 日蓮大菩薩

南無釈迦牟尼仏 大日月 明星天

 南無浄行安立行菩薩 

二天 f:id:ryugesengyo:20140724005321p:plain(ウーン) 十羅刹女

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 二聖は薬王菩薩・勇施菩薩、二天は毘沙門天持国天「 f:id:ryugesengyo:20140724005239p:plain(カーン)」は不動明王、「f:id:ryugesengyo:20140724005321p:plain(ウーン)」は愛染明王を表す梵字(=種子)。「上行無辺行菩薩」および「浄行安立行菩薩」は、まとめて「本化四菩薩」と呼ばれる上行菩薩・無辺行菩薩・浄行菩薩・安立行菩薩。「大梵」は大梵天王。帝釈天はそのまま帝釈天。「大黒天神」は大黒天。「大月」は大梵天王と対で「大曼荼羅」に記載される大月天王。「明星天」は明星天子日蓮宗のご本尊「大曼荼羅」には絶対不可欠の、天照皇大神八幡大菩薩の名前が見当たりません。

 お札セットに同梱されている「お札の解説」には、このお札の解説がありません。最初の写真にあるように、部屋の南の壁の天井際にのり付けして貼付けていますが、このようなお祀りの仕方でいいのかどうか、わかりません。

 次の写真では、右側のお札(お札-5)に「三宝大守護神」という神々の名前が挙げられています。墨書きの文面は、

 

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奉勧請三宝大守護神

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お札の解説書には、

 三宝大守は普賢三宝荒神で、かまどの神、台所の神、火伏せの神です。 『御義口伝』に「三宝荒神とは、十羅刹女の事也。所謂飢渇神・貪欲神・障碍神也。今法華経の行者は三毒即ち三徳と転ずる故に三宝荒神に非ざる也。(略)法華経の行者の前にては守護神也」とあって、法華の守護神でもあります。

とあります。

 

  妙国寺には何度もお参りしているのですが、本堂内、ご本尊の左脇に大きな"妙見堂"がある妙見さん、ご本尊と妙見堂のあいだに小さなお堂がある鬼子母神・十羅刹女、ご本尊とご位牌台の間に小さなお堂がある三十番神は別として、大黒さま、お稲荷さん、三宝太守などの神様たちが境内のどこで、どのようにお祀りされているのか、いまだに知りません。配布されるお札の中に、日蓮宗で一般的に大事にされている七面天女鬼子母神単独のものが見当たらないのも不思議です。妙国寺では、三宝大守を十羅刹女たちと同一視しているようですが、母親たる鬼子母神をさしおいて、娘たち(十羅刹女)のお札だけ配布されるのも、なにか事情がありそうです。このお盆(8月10日)にお参りする時にでも、お伺いしてみようと思います。

 

※2014年8月20日、妙国寺にお参りすべく、名古屋発米原経由の特急「しらさぎ3号」に乗り込んだところ、豪雨のため、滋賀県長浜市で臨時停車、そのまま6時間もしらさぎの中で足止めをくらいました。刻々と時刻が過ぎ行く中、まず法要への参拝を、ついで妙国寺に集結しているであろう親戚たちと会うのをあきらめ、米原駅までタクシーで移動、復旧した東海道線にのって自宅へもどりました。JRでは、乗車券・特急券すべて払い戻してくれました。ただしタクシー代はくれなかった。